勉強って将来にどう役に立つの?ちょっと考えてみよう!!
学生たちが良く「この授業、将来の役に立つかわからない」などと言ってくることがあります。特に、高校までやってきた英数国理社的な授業に対しては強くそのように思っている学生が多いです。さて、それではなぜ学校でそのような授業を行うことになっているのでしょう。
「気の利いた奴」になるためには「育ちが必要だ」と言われても…
社会人に必要な様々な能力「責任感」「協調性」などは「そんなこと社会に出なければわからない」「働いたこともない人間にそれを教えようとしても無理だ」と仲間によく言われます。学校の教員として、なんか悔しいので、反論してみました。
ハイというのは素直じゃないって言われても…って思うよね...
講義をする中で学生に「わかった?」と聞くと、多数の学生は元気に「ハイ!」と答えてくれます。このときにいつも私が言うセリフがあります。「ハイというのは素直じゃない!素直になれ!」です。講義中に何回も言っているので、最近はそのセリフに対してハッとした顔をしてくれますが、最初は「このおっちゃん何言っているんだ?」という顔をしていました。
私は素直を「受け入れること」と定義しています。もう少し細かく言うと「自分を受け入れること」「相手を受け入れること」「環境を受け入れること」の3つになります。もし、学生が「相手を受け入れること」を徹底した素直な人間だったとしたら「わかった?」という問いかけに対してど のように答えるでしょうか。受け入れる前提として相手を心からわかりたいと思う気持ちがわくはずです。そうすると返しは確認になると思いませんか。「おっしゃったことは〇〇ということですよね」「〇〇という風に理解したのですが、それでよろしいでしょうか」など自分がきちんと理解していることを確認して、考えが正しいということが分かった時点で「ハイわかりました」と返事をすることが「受け入れること」つまり「素直さ」になっていませんか。これであれば、学生にとってだけではなく、私にとっても理解が確認でき、気持ちよくかつ着実に講義の目的を果たすことができます。
就職面接の時にも同じです。緊張のあまり質問に対して「ハイ」だけで返す学生がよくいるのですが、面接官にとっては心のシャッターを下ろして「聞かないでください」と強く言われている気分になります。
自己PRで努力を語った学生に対して次のように聞いてみたとします。
「努力したんだね~」
「ハイ」
「それを行っているときつらかったですか」
「ハイ」
「チーム全員がそのような努力をしていたのですか」
「ハイ」
「そうなんですか。良いチームですね」
「ハイ」
「・・・」
いかがでしょうか。ここまでハイだけで返す学生はまれですが、面接官として何を聞いてよいかわからなくなってしまいます。
人間関係の中では「心から分かりたい・理解したい」と考えて行動するようにしてください。相手を心から理解したいという気持ちは相手のオープンハートを創り、良いコミュニケーションのきっかけとなります。そんな、コミュニケーションでわかり合う人間関係をたくさん創ってくれることを祈っています。
主体的に行動するってどういうこと?
学生が先日就職セミナーに参加して「主体性と自主性」について講義を受けてきたようです。内容を聞いて良いセミナーをしてくれるなと感心しました。学生達は「主体的に行動しなければ…」という気持ちを強く持って帰ってきてくれたので、主体的に動くために必要なことを学生達と一緒に考えてみました。
1.現状と理想のギャップを見つける課題発見力が必要
2.ギャップを埋めるためどう動くか考える論理的思考力が必要
3.考えを実際の行動に移す行動力が必要
話をまとめるとこんな感じでしょうか。また、その中で最も重要なのが目的意識ではないかとの意見も出ました。課題発見力が目的を創り、目的意識が目標を創り、論理的思考力で目標を実際の行動に落とし込むという順番です。
例えば、皆が遠慮して発言せずゼミの議論が活性化しないという課題をゼミ長として感じていた場合、次のようになります。ゼミ内での遠慮をなくし、議論を活性化させることが目的。そのためにゼミ生たちの中にある壁を取り払うことが目標。ゼミ長としてゼミ生一人ひとりと毎日最低1分以上雑談でもなんでも良いから話をすることが行動。さらに、会話の中で各ゼミ生が抱える研究の問題点や課題を探り、全員の課題を事前にSNSにアップして共有するなどと決定するような感じです。
具体的に行動まで決めると動くことができます。この目的→目標→具体的行動という考え方が主体的に動くための最低条件になるのではないかと考えました。
また、目的がワクワクすることであれば、自立的に動くことが楽しくなると思いませんか。目的から具体的行動まで落とし込む行為をきちんとすることで、ぶれずに楽しく主体的に動くことができるのではないかというのが、私と学生たちの仮説です。
「無駄」という考えが最も無駄な理由
「やりもせんに」本田技研の創始者本田宗一郎の口癖だったそうです。昭和の時代の言葉ですが、正解のある仕事がコンピュータに取って代わり、社内に残った単純作業はアウトソーシングされ、正社員が取り組む仕事は正解のないチャレンジングな精神が必要なものが中心になっている今の時代のためにある言葉だと思います。
人の気持ちを考えて行動するはPRにならない
「私は人の気持ちを考えて行動することができます」この自己PRのキャッチフレーズ...女子に多いのですが、そのフレーズを目にしたときは、そこにいる他の学生にアンケートを取ります。「人の気持ちを考えない人は手をあげて」この質問に対して当然誰も手をあげません。そして、それを自己PRにしてきた学生に言います「だれもが人の気持ちを考えて行動するけど、君の特徴を教えて」
そうなんです。人の気持ちを考えることでは自己PRにならないのです。もう少しパーソナルな特徴が欲しいところです。でも、人の気持ちを考えて行動する学生の中には、この学生仕事出来るなと思わせてくれる学生がいます。
例えば「宿題に出したプリントを回収して私のところへ持ってきてください」というと、テストを名簿順に並べ替えて、休んだ学生、未提出の学生の名前をメモに書いて添付して提出してくれます。私はそのことに関しては全く指示は出していません。提出状況を評価しリストに転記するという私の仕事を予測して、仕事がスムーズに進むように気を利かせてくれたと感じ、その学生に感謝します。
また、メールで授業の変更を入れると必ず「はい、わかりました。明日〇〇の教科書を忘れずに持っていくようにします」と確認のメールをくれる学生がいます。指示を出した私としては授業変更を理解したことを確認でき、安心すると同時に気遣いに感謝します。
このことについて学生に謝意を伝えると、キョトンとした顔をして「ありがとうございます」と返してくる場合が多いです。まあ、そんなことは彼らにとって当たり前なのではと思います。
些細なことなのですが、日々の生活の中で何回もこのような気遣いを行ってくれることが、そのような学生の特徴です。私にこのような行動をしてくれるのですから、アルバイトやサークルなどでは当然、同じような気遣いをしてくれていると考え、聴いてみると、大抵の場合、面接で使えそうな面白いことを行っていたりします。
これらの気遣いは社会人としては当たり前の行為なのですが、意識せずにこのような気遣いを出来る学生を見ていると良いなぁと感じてしまいます。
自己PRを作っているときにやりがちなこと
先日、公務員受験を目指す高校生に対して面接対策の授業をしました。その中で私としては珍しくテクニックの話をしてみました。「こんなことも大切かな」と考え少し紹介します。
まずは、次の2つの映像をご覧ください。
ルーキーズは前にも紹介しましたが、自己PRの作り方の参考として「魔女の宅急便」も秀逸です。さて、この2つの事例をありがちなタイプの自己PRとしてまとめていました。
ルーキーズ卒業に出てくるニコタマ野球部部員の自己PR①
私の長所はあきらめないことです。高校時代野球部では甲子園を目指し、苦しいこともありましたが、様々な努力を続けました。最後まであきらめなかった結果、甲子園に出場できました。
魔女の宅急便の主人公「キキ」の自己PR①
私の長所はあきらめないことです。一人前の魔女を目指し、苦しいこともありましたが、様々な努力を続けました。最後まであきらめなかった結果、人命救助もできました。
さて、2つの自己PRを見てどう思いましたか?「高校時代野球部では甲子園を目指し」が「一人前の魔女を目指し」に変化し「甲子園に出場」が「人命救助も」に変化しただけで、他の部分は同じものです。この自己PR少しだけ文章を変化させれば、どんな人でも使えます。
例えば、私の自己PR
私の長所はあきらめないことです。学生全員が幸せな就職をすることを目指し、苦しいこともありましたが、様々な努力を続けました。最後まであきらめなかった結果、学生の就職率100%を達成することができました。
実はこの文章、自己PRとして何も言っていないのと同じなのです。「様々な努力」これでは何を行ったかわかりません。「最後まであきらめなかった結果」どんな考えでどのようにあきらめなかったかわかりません。つまり、この自己PRは具体的とは言えないのです。少し変化させただけで誰でも使える自己PRはPRになっていないと考えてください。大事なのは「様々」を具体例(どのような行動をしたか)であげること。その時の考えを伝えること。つまり、何を何故そうしたかです。
この、2つの自己PRを次のように変えるとどうでしょうか
ルーキーズ卒業に出てくるニコタマ野球部部員の自己PR②
「あきらめない気持ちが成功を創る」高校時代野球部で培った信念です。365日毎日6時間の練習。「一緒に行こうな」を合言葉に頑張った日々。怪我を隠し試合に出ようとした時の「お前だけが痛いんじゃない皆が痛いんだ」という仲間の言葉。勝ち取った甲子園が私の誇りです。
魔女の宅急便の主人公「キキ」の自己PR②
一人前の魔女を目指し、空飛ぶお届け便が生業でした。飛べずに、箒と一緒に心が折れた日「箒が運ぶんじゃない私が運ぶんだ」という気持ちで取り組んでいきました。嵐の中、人命救助ができた時に感じた、本気で誰かの為に頑張った時の達成感は忘れることができません。
さて、このような自己PRは状況説明や場面が入っているため、パーソナルなものとなり他の人が使うことはできません。このような自己PRが良い自己PRだと私は考えます。
皆さんも自分だけの自己PRを是非作ってください。