働く目的は安定・お金、私もそれはそうと思います
あなたにとって「働く目的」とは何ですか?あてはまるものを3つまでお選びください。少し古いデーターになりますが「enミドルの転職」のHPの中にあったデーターを紹介します。(第59回アンケート集計結果「「働く目的」について」|エン ミドルの転職)
1位:収入を得るため90%
2位:自分の能力・人間性を高めるため55%
3位:仕事を通じて社会に貢献するため45%
4位:社会的に自立するため25%
5位:人間関係を豊かにするため15%
6位:顧客に喜んでもらうため12%
7位:やりたいことを見つけるため11%
8位:仕事自体が生きがいだから9%
9位:次世代の人材を育てるため6%
10位:国民の義務だから3%
グラフデータから読み取っていますので若干の誤差はありますが、大体こんな感じです。これは実際働いている人たちに聞いたアンケートですので、働くというのはこのような感覚だと思っていただいて間違いないと思います。つまり、働いている人の9割は収入を得るために働いているということです。
しかし、会社説明会や省庁説明会などに参加した時や、OBOG訪問で人事の方やリクルーターの方・先輩たちに働く目的を聞くと、収入を得るため以外のやりがいの話などを聞くのではないかと思います。では、彼らは新卒を自社に入れるために偽りを語っているのでしょうか。新卒に対して恰好をつけているのでしょうか。
私はそうではないと考えています。私がもしこのアンケートに回答するとすれば「収入を得るため」「仕事を通じて社会に貢献するため」「次世代の人材を育てるため」の3つを選びます。そうなんです。私も「収入を得るため」に働いています。でもそれだけではないんです。就職支援を通して豊かな人間性を持った人財を創りたいと考えていますし、それによって社会に貢献したいとも考えているのです。
学生からも「実際働く目的はカネなんですよ」「なんやかんや言っても安定が目的です」とよく言われますが、それに対して私は「その考えで問題ない」と言います。でも、それだけだと「人生寂しくないか」とも問いかけます。
就職活動をする中で、自分の働く目的を本気で考えてみませんか。当然、それが志望動機にもつながるはずです。
ここで、もう少し働く目的について考えてみます。
1位:収入を得るため90%
2位:自分の能力・人間性を高めるため55%
3位:仕事を通じて社会に貢献するため45%
実は、この「働く目的」のアンケートで1位から3位までの3つの考え方が仕事をするうえでどのように評価されるか、ドラッカーが書いた名著「マネジメント」をはじめとする様々な本や講演・ブログなどで寓話として紹介されています。
三人の石工の話がある。何をしているかを聞かれて、それぞれが「暮らしを立てている」「石切りの最高の仕事をしている」「教会を建てている」と答えた。第三の男こそマネジメントの人間である。第一の男は、仕事で何を得ようとしているかを知っており、事実それを得ている。一日の報酬に対し一日の仕事をする。だがマネジメントの人間ではない。将来もマネジメントの人間にはなれない。問題は第二の男である。熟練した専門能力は不可欠である。組織は最高のスキルを要求しなければ二流となる。だがスペシャリストは、単に石を磨き脚注を集めているにすぎなくとも、重大なことをしていると錯覚しがちである。専門能力の重要性は強調しなければならない。しかし、それは全体のニーズとの関連においてでなければならない。『マネジメント―課題、責任、実践(中)』(上田惇生訳、ダイヤモンド社)
第一の男(石工)は「収入を得るため」に働き、第二の男は「自分の能力」を誇りに働いています。第三の男はキリスト教国ではない我々日本人には分かりづらいですが、意訳すると「目を輝かせながら大空を仰ぎ大聖堂を建てていると答えた」と考えると理解できるでしょうか。つまり「仕事を通じて社会に貢献するため」に働いているということです。
これを整理すると、
第一の男:「生活者の視点」 目的は生活・目標は稼ぐこと・行動は働く
第二の男:「専門家の視点」 目的は成長・目標は技術向上・行動は働く
第三の男:「マネジメントの視点」 目的は社会貢献・目標は幸福の提供・行動は働く
このように整理できます。
それぞれ目的と目標は違いますが行った行動は同じです。皆さんはどの視点で働きたいと思いますか。実を言うと、働くという行為には3つのベクトルがあり、それぞれ重要です。生活が豊かでなければ寂しい人生を送ることになります。また、お客様のため(公務員であれば市民や国民のため)という気持ちがなければ、売上をあげることはできません。その売上が給与の原資になりますから、給与も上がりません。(公務員であれば市民や国民のためと考えない職員は税金から支払われる給与をもらう資格がないと思いませんか)さらに、お客様に対して大きい利益を与えるためには、良いサービスを提供するためには自身の成長は欠かせません。
さて、年齢が高くなって、管理者となった場合は「マネジメントの視点」が重要となりますが、これから成長を期待される新人には「生活者の視点」「専門家の視点」「マネジメントの視点」の3つの視点のバランスが大切になってきます。もし、一つでも視点が欠けていた場合、すべてが崩れることになってきます。すべての視点をもって今できることを精一杯おこなってください。
そのような人を人事は望んでいます。